早朝のエアーズロックと月
【7月27日】
昨日、無事にエアーズロックに着いた。さっそく、朝6時に起きて、ユースに泊まっていた日本人学生らと
エアーズロックを見に行った。まるで、“夜光塗料”のようにピンクに染まる様は、本当にすばらしかった。
エアーズロックは、世界で一番大きい一枚岩(高さは約450m)であるが、全く不思議なくらい、色が
変化する。時には真っ黒に、時には真っ赤に・・・! 本当に素晴らしいに尽きる。
食事を済ませ、いよいよエアーズロックに自転車と共に登りに行く。
・・・ところが、自転車の重さはともかくとして、風が強い。人間一人だけでも吹き飛ばされそうである。
横から見たら、それほどの傾斜とは思わなかったが、実際はすごい傾斜だ。一つの急斜面は30度はある。
とにかく、足を踏み外せば、真っ逆さま滑り台のように落ちてしまう。とにかく、大きな岩を登っている
のである。ただ一つの助けは鎖のみ。しかし、その鎖も安定がものすごく悪い。抜けることはないが、
弛んでいるので、ぐらぐらする。それにものすごく強風だ。まだ70mほどしか登っていないのに、立って
自転車を担ぐと、体がぐらつくのである・・・・。
30度の傾斜を前にして考えた・・・・『もし、この風で、足を踏み外したり、バランスを崩せば一巻の
終わりだ。(実際に毎年、数人が落ちて亡くなっている) また、この傾斜は、一気に登らなければ
途中で休んだらダメだ。滑り落ちてしまう。私の目標はなんだ。“世界一周”だ。もし、ここで死んで
しまえば何もならない。私は死にたくない。私は今日ほど自分の旅の重大さを感じたことはない。
何はともあれ、死が直面していることを感じた。折角、ダーウィンから3週間もかかって来たのだ。
本当に素晴らしい思い出や出会いがあった。私は死んではいけないのだ。もっと多くの旅をし、
いろいろな国へ行き、数多くの人と出会わなくてはいけないのだ・・・・』と、そのようなことを考えて
いるうちに、約20分くらい経ったのだろうか、自転車による登頂を断念した。私の目標は世界一周
なのだから・・・・。
ところが、今度は下ろうにも傾斜の途中であるため、どうすることも出来なかった。自転車が、ずれ
落ちるのを必死で鎖のポールに引っ掛けているのだ。一人ではどうすることも出来ない。
結局、一人の大男に少し下まで降ろしてもらった。
ふもとに自転車を置き、あとから一人で登ったが、改めて、止めて良かったと感じた。上の方では、
より一層風が強く、台風のようであった。たとえ頂上まで登りきったとしても下ることは不可能だ。
片時も鎖の側から離れることが出来なかった。
エアーズロックの頂に立つ。素晴らしい眺めだ。“地球は丸い”はっきりと、それが確かめられる。
遠くにマウントオルガが見える・・・・
さあ、明日は、いよいよ、アデレードを目指して走る。エアーズロック、自転車では登ることは
出来なかったけど、本当に素晴らしい岩であった・・・・・。
弛んだ鎖のみ マウントオルガが見える“地球は丸い”
エアーズロックを見て