【8月24日】
砂漠の真ん中に、真っ直ぐな道がひたすら続く・・・
昨夜は、たまたま日系人経営のレストランの庭にテントを立てさせてもらった。
お蔭でぐっすり眠れた・・・・夢の中で、若い頃の“小柳ルミ子”と会って、彼女の家まで送って行った。
夢の中の彼女は、純粋で素直だった。
途中の町で、子供たちがコマを回していた。日系人から教わったのだろうか?
ふと考えたことだが、南米の貧乏な家で生まれた者が、私のように自転車で世界を回ったら、どのような
目で世界を見るだろうかと・・・・・おそらく彼は、自分の家の暮らしにすぐ戻ると思う。
それほど彼らは、貧しい暮らしに慣れきってしまっているし、それに満足しきっているように感じる。
走りながら感じたことだが、この南米を走っているうちに、私も南米の気質にすっかり感化されて来た
ようだ。 “そんなに深く考えることはない。何とかなるさ”・・・・楽天的で、「アシタ・マニャーナ
(また明日)」という、おおらかというか、そのような気質だ。私も、ここを走っているうちに、
“何とかなる。生きていくだけなら何とかなる”という気になってきた。
今、子供が二人、レストランに入って来た。箱を抱えて何をしに来たのか、また「金をくれ」と、
言うのかと思っていたら、靴磨きだった。靴を磨く代わりに飯を食わせてもらう。それも一つの飯を
二人で、つっついているしまつだった。
また、私はずいぶん犬と相性がいいのだが、今日も面白いことがあった。
テントの前で出発の準備をしていると、二匹の子犬が馴れなれしく寄って来て離れようとしない。
なかなか離れないので、靴で二、三回押しのけた。すると犬は、怒ったような顔つき。そして、
バックを取りにテントを離れた隙、約1分間の間に、何とテントの中にションベンをしていた。
それで頭に来て、にらみつけると、じっとこちらを見て、「お前があんなことをするからだ」というふう
だった。なかなか賢い犬である。それも私がテントに戻った時はもういなかったのだから・・・・
悪気があってあんなことをしたんじゃないんだ。だってお前さん、汚いんだもの。