【5月21日】
ついにアメリカ大陸のロスに上陸。
・・・・・いったいどうすべきか。もうこの実態からどうすることも出来なくなった。
ハリウッドYMCAに着いて、チェックインを済ませ、10時から四時間ほど部屋で寝ていた。
その間、部屋は3階なので1階の階段口の所に、愛車をダンボールに輪行したまま置いていた。
その後、下へ降りてみると無くなっているではないか。私の大切な自転車が・・・ロビーに聞いても
「知らないと」言う・・・・
泣いても叫んでも、もうこの実態から逃れることは出来ない。今の私の気持ちとしては、
今でも信じられないほどのショックと何ともならないこの状況とで、頭の中が空白になったようだ。
・・・・・これも運命なのだろう。どんなに正直に生きても、どうすることも出来ないこともある。
それが、ほんの一瞬のうちにやって来ることだってあるということを、かと言って、それに恐れて
折角のこの“旅(人生)”をすぐさま捨てることは問題である。今の自分はまだ、本当に健康であるし、
金だってある程度旅行できるだけの分はある。それにこの時間も・・・そう思うと、できるだけの
範囲でこの旅を続けていかなくてはならないと考える・・・“人間は本当に生きる気力さえあれば、
生きてゆける“ということを、これまでに私はこの旅で知ったのだから・・・・
日本に帰ってからでも、また別の目標(それが何になるか分からないが)に向かって生きてゆける。
神がこれほどのシウチをするのは、それ以上のことがこの先あるのかも知れない。でないと、私は
本当に忠実に自分の心に偽りなく生きて来た・・・何も恥じることはしていないから。きっとそうだ。
神が、ここで旅を止めるように、私のために教えてくれたのだ・・・・。
翌朝、8時に起き、ロビーのフロントに再確認した後部屋に戻り、ポリスへ事故の届けをしに行こう
としていた時、ドアのノックが聞こえて来た。
・・・・ドアを開けると、そこには、掃除夫らしき者と愛車があった。
すっかり諦めていただけに信じられなかった。昨日、そこら中の壁に“貼り紙”などをして、必死に
なって捜していた、その姿を見て、隠していたのを返してくれたのだろうか・・・・。
さっそく愛車を組み立ててみると・・・・どこも悪いところはなかった。 良かった。