周りは360度地平線・・・

 

 【7月13日】

 

   一時はどうなるかと思った。朝9時30分に朝食を終え出発したが、今日は突風が吹き荒れていた。

  普通にペダルを漕ぐと止まってしまう。その経験をまた味わった。何と4時間走って、25kmしか

  進まない。また、途中から前のタイヤの空気がどこからか漏れているようで、調子が悪い。パンクとは

  違うようだが・・・。また、ちょっとでも休憩すると蝿がどこからともなく40匹ほども寄って来る。

  たまったもんじゃない。ましてや、パンクでもして時間を食おうものなら本当に大変だ。テントは立て

  ても、この風じゃ壊れてしまう恐れがある。

   ・・・途中、地平線が見える所があったが、立ち止まって眺める余裕はない。こんな時は、とにかく

  早く町に着きたい、早く家が見たいのだ。身体は疲れるし、いつもの倍以上だ。しかし止まる訳には

  いかない。走らないと着かないのだ・・・。とにかく走った。必死で走った。そして、『あと2kmで

  町』という標識が見えた。この時が一番、ほっとする。“生きてる・・これで明日も走れる”という

  実感だ。そして、バーに駆け込み、オレンジジュースを飲む。このジュースの美味いこと。最高だ。

 

   それにしても、だいぶん内陸地に来た。もう高い木はない。それに寒い・・・

  オーストラリアは広い。デッカイとつくづく感じる。  こうしてテントの中でも周りが明るいと、

  “生きてる、安心だ”と実感する。人がいるということは、それだけで心強い。だいぶん疲労が溜まって

  きた・・・あまり無理しないようにしよう。

 

 

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