アデレード

 

 【8月22日】

 

   終わった。

  “オーストラリア大陸縦断、3500km”を走破した。終点はアドバタイザー新聞社前。

 

   大きい街だ。もうここは、日本でいうと大阪の中心地のような気がする。今まで本当に小さい街ばかり

  見て来たせいだろう。でも私はやはり、小さい街の方が好きだ。こうした人の多い所を走ると、どうも

  落ち着かない。オーストラリアは、走っている時に感じたことだが、景色の移り変わりがものすごく

  激しい。大きい町に着いたと思えば、一時間も走るとまるで北海道だ。また、砂漠だと思えば、高い木が

  おい茂っている。これだけの旅をしていると、季節についても言える。ダーウィンでは、日本の夏と同じ

  であったが、一ヶ月半もすると真冬なのである。しみじみとオーストラリアの大きさを感じる。

 

   ・・・・朝、曇り、7時30分に起床。今日で達成だと思うと心が躍る。今日も快い風だ。快調にとばす。

   アデレードに着いたのが14時30分。途中から急に車が多くなった。しかも、時速100km以上で

  走っているので、とにかく恐い。着くとまず、バス停のおばちゃんに尋ねると、新聞社は「GPO(郵便局)

  の近くにある」と教えてくれた。そして、GPOの近くまで来ると、一人のオーストラリア人が親切に入り口

  まで案内してくれた。

   受付に入ると、まず、「新聞記者に会いたい」と言った。すると、「自転車を入り口に置かないでほしい」

  と言うので、裏の方へ持って行き場所を探していた。丁度そこに、ラッキーなことに、「新聞掲載の依頼に

  来たのか?」と、一人の男が尋ねてきたので、「そうだ」と答えると、後はスムースにいった。

 

   “紹介状”と昨日作った英文を差し出し、取材をお願いすると、しばらく待つように言われた。

  10分ほど待っていると女性記者が現れた。日本語を片言話す人。そして、もう二人、合計三人の女性記者

  が現れた。

   さあ、インタビューの開始である。名前、歳などを聞かれ、「何故、オーストラリアに来たのか? また、

  何故、サイクリングをするのか?」と聞かれたが、この時は、どう答えたらいいのか困ってしまった。

  また、後の質問に対しては、本当は、「人間らしさを取り戻せるから」と言いたかったのが、うまく言えず、

  「友達がたくさん出来るから」となってしまった。何はともあれ、無事に取材は終わった。新聞社の前で、

  走っている姿の写真(ホームページの表紙の写真)を撮られた時は「ほっと」した。これで一応、“オースト

  ラリアの旅は終わった”と感じた。JACCとして、また、自分の信念として、役目を思う通りに果たすこと

  ができたと感じた。この経験は、この先、色々な意味で、自分にとって“励み”や“自信”となるであろう。

 

   その後、奥さんが日系人であるバリーさんの家に行った。

  突然に伺ったのにも関わらず、温かく歓迎して下さった。久しぶりの日本食だ。おでんに、五目ごはんも

  作って下さった。懐かしい日本の味がした。

 

 

 

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