<質問13>旅の中で、怖い目にあったことはありますか?
実は殆んどありません。一度スリッパを盗まれたことがあったくらいです。
これには理由があって、自分なりに“予防”していたからだと思います。
例えば、テントを立てる際は、できるだけレストランの駐車場や、民家の庭を借りていました。
オーストラリアのように、どこの国にもいたるところにキャンプ場みたいなものが、あればいいの
ですが、北米を走っていた時は、キャンプ場は国道からずいぶん離れたところにあったので、殆んど
民家に頼んで、庭にテントを立てさせてもらいました。もちろん、どこかしこもすぐに、okしてくれる
わけではなく、五軒目にしてやっと“許し”を得ることもありました。また、いきなり民家の玄関の
ベルを鳴らすのではなく、庭に出ている人を見つけては、お願いしていました。
どうしてそこまでして?と、思うかも知れませんが、まず第一に、なによりも“安全”だからです。
それと、少しでも現地の人とコミュニケーションを図り、楽しい旅にしたいと思っていました。
南米でも、同じように殆んど民家に頼んで、庭にテントを立てさせてもらっていましたが、
現地の人から「泥棒がいたるところにいるので注意するように!」と、聞いていたので、自転車だけは、
民家の家の中に入れてもらうようにしていました。逆にこうしたことで、お互いの信頼が深まり、
あまり言葉は通じなくても、コミュニケーションがうまく図れて、有意義な旅ができたように思います。
・・・南米のある民家に、同じように自転車を家の中に入れてもらった時のことですが、夜、テントの
中で寝ていると、家の中が一晩中騒々しくもめていたようだったのですが、 翌朝、出発の準備を終え、
英語を片言話せる娘さんに、「昨晩は何かあったのか?」と尋ねると、「実はうちは、根っからの“泥棒
一家”なの。昨晩、貴方の自転車をこのまま盗んで、どこかに隠そうという話になったのだけれど、
貴方は、エンドウ豆の収穫を手伝ってくれたりして、優しかったから、盗むのを止めることにしたのよ。
がんばってね!」と、このような感じのことを言ってくれました。
正直この時は、“ゾ〜!”としましたが、内心“エンドウ豆の収穫を手伝ってて良かったな”と思い
ました。また、僕の、この旅を必ず成功させようとしている“一生懸命な姿”が伝わったように思い、
ちょっぴり嬉しくもなりました。
このように、海外で、特に言葉もあまり通じないところをサイクリングする際は、
“人とのコミュニケーションを良く図ること”が、“自分を守る”という意味でも、一番大切なように
私は感じました。また、夜道をあまり一人で歩かないとか、裏道にはできるだけ行かないようにするとか、
貴重品(パスポートや現金など)は、いつも身に付け、ホテルの部屋でシャワーを浴びる際も、
シャワー室まで持って行くなど・・・基本的なことを守ることは、いうまでもありません。
南米(コロンビアの民家)